Android XRは2024年12月に発表されたAndroid系OSで、更に2025年5月のGoogle IOイベントでAIとの統合が発表されました。XRとは仮想現実 (VR)、拡張現実 (AR)、複合現実 (MR)などを包括する用語で、Android XRはこれらのデバイスに対してインターフェースやアプリ管理、Google AI(Gemini)などを提供するものです。

こちらのブログで前にARメガネの記事を書いたのは4年前!?
自社アプリ開発、新しいものに取り組みたい企業さまのPoC、『コンテンツ is キング』を色んな場でご説明したこともありました。※現場の方からは「アプリがあれば」「コンテンツがあれば」『もっとARメガネを売れるのに』というような反響を多く頂いておりました。懐かしい。
NrealもXREALに社名が変わりましたね。
改めてAndroid XRの情報をまとめます。

Android派生OS
Android OSはオープンソースであり、改良・特定の用途特化が可能です。
例えばMeta社のVRゴーグルであるMeta QuestではAndroid OSをベースにしたMeta Horizon OSというものが使われています。そのためQuest向けアプリの”ネイティブアプリ”はAndroidアプリと同様にプログラミング言語Java/Kotlinで作られたアプリを意味します。
もちろん、Unity や Unreal Engineなどで作られたゲームがAndroidスマホで動くように、Meta Quest のHorizon OSでも動きます。
一方で、Apple社のVision ProはvisionOSを搭載しており、iPhoneアプリなどと同様Swiftで開発できます。Unreal Engineの開発元のEpic GamesとApple社が裁判沙汰になったことが関係したのかUnityが先に対応、現在はUnreal Engineでもアプリが作れるようです。
Android XRはAndroid OSの派生、かつ恐らくですが大きな仕様変更はないものと思われるので、既存のAndroidアプリ開発の資産を存分に有効活用できるのではないかなと思われます。
Meta Quest向けのアプリ開発などを通じてGoogleとしても様々なノウハウが蓄積されたのかなと。

Android XRが対応しているアプリ開発プログラミング言語・フレームワーク
Android Jetpack XR、Unity、OpenXR、WebXR のいずれかで開発することが出来ます。
Jetpack XRがいわゆるネイティブ開発、WebXRはそういう具体的な言語があるのではなくブラウザ向けのアプリケーションを意味します。
OpenXRはKhronos Groupという非営利団体が策定しているオープンな規格です。この団体はOpenGLやglTFなども取り扱っています。( アバターで使われるVRMのベースが glTF )
「まったくのゼロから作る必要はない。既存のAndroidアプリを拡張できる」とのことです。
スタートアップからすると、逆に Android XRに最適化したアプリを作ってリリースすると面白いかも知れません。
https://developer.android.com/develop/xr

Android Jetpack XR
既存のアプリのUIを空間化したり、3Dモデルを読み込んでレンダリングしたりすることが出来る、とのこと。
追加作業なしでも動きそうな気配があるので、特にXR対応が必要ではないアプリはビルドして配布できるのもあるかも知れません。

Unity
前からこうだった気がするのですが、
Android(Google)側で用意した “Unity用Android XR Extensions”と、
Unity側で用意した”Unity OpenXR Android XR”プラグインの2種類のパッケージがあります。
Android側が用意したUnity用Android XR Extensionsは単体でも使えますし、Unity側が用意したパッケージと併用することもできます。
片方がサポートして片方がサポートしていない、という機能がいくつかあるので注意が必要です。

Unity自体に大きなエコシステムがあるので、様々な3Dデータなどを利用できるのは魅力的です。
Unity対応のマルチプレイゲーム向けのクラウドサービスなどもあるので、新しいゲームなども実現できそうです。
( https://www.strixengine.com/ , https://www.photonengine.com/ja-jp, monobitengine.com )
WebXR
Android XR 版 Chromeがあり、そこで動くWebアプリケーションとして構築するものです。
つまり、HTML / CSS / JavaScript でAndroid XR向けのサービスが作れるというわけです。
この辺は Three.js や マイクロソフトがメンテナンスしている Babylon.js などのデモを見たほうがイメージしやすいかも知れません。ChromeやMicrosoft Edgeの最新版などでアクセスすると、VRビューが動くものがあります。
https://www.babylonjs.com/featureDemos/
(そのうちデモページ作成予定)

Android XR対応デバイス
いわゆるVRゴーグル、MRヘッドセット(ハーフミラー型など)、ARメガネ、AIメガネなどに搭載されるようです。
現時点で公表されているものをピックアップしてみます。

Samsung : Project Moohan(仮) ヘッドセット

Samsungといえば何度もVRゴーグルに挑戦してきたイメージがあります。Meta社(Oculus)との Gear VRなど撤退済みです。
まだプロジェクト名なのですがProject Moohanというものが進んでいるようです。プロトタイプが様々なイベントで展示されている模様。
Xreal : Project Aura(仮) ARメガネ

光学シースルーを採用しており、ほぼサングラス。
以下の画像はMeta社の Orion ですがマイクロLEDプロジェクターなどがありますが、同様に投影しているのかなと。(スペックシート出たら更新予定)

Google IOではライブデモに挑戦していましたが、
恐らくメガネへの投影機能はオフにして、カメラ映像をスクリーンに投影するなどしていたのではないか、と思います。

あくまでシリーズの一つとして展開し、AndroidスマホアプリをXRメガネでも使えるというのはハードルが低くていいかも知れません。
Google肝入りの取り組みとして注視していきます。