物体検出ライブラリである Ultralytics社の YOLOv8の使い方をご紹介します。
公式サイト https://www.ultralytics.com/yolo
公式github https://github.com/ultralytics/ultralytics
本投稿は v8.2を参考にしています。
シリーズ投稿記事
- git clone & pip install でのインストール
- パラメータ解説
- ファイル構造解説
- トラッキング
- 枠や点、線の色や太さを変える
- ソースコードを改変せずに、見た目を変える
- ライブ配信のリアルタイム処理
- supervisionの利用
ライセンスと料金について
ライセンス:エンタープライズライセンス もしくは AGPL-3.0
製品などプロダクトに組み込む場合はエンタープライズライセンス、愛好家や研究者はAGPL-3.0を選択すればよいとのこと。下記の通り、企業等によるコミュニティへの還元もしくはユーザーによる貢献を実現することを強く意識しています。アップデートも頻繁に行われており、ultralyticsを中心としたエコシステムが形成されつつあります。
私たちのライセンス戦略は、オープンソースプロジェクトの改善が確実にコミュニティに還元されるように設計されています。私たちはオープンソースの原則を常に大切にしており、私たちの貢献がすべての人にとって有益な方法で活用され、拡張されることを保証することが私たちの使命です。
https://docs.ultralytics.com/
このライセンスでは、改変したコードを開示することになります。
ただし、このAGPL-3.0のベースとなっているGPLライセンスでは、コードが含まれていなければ、そこから得られた画像などの生成物の著作権はその人に属すとされています。つまりアノテーションが付いた画像などはGNUライセンスの対象に入りません。
GNUライセンスに関してよく聞かれる質問 – GNUプロジェクト – フリーソフトウェアファウンデーション
そのため、改変せず利用して、得られた画像や映像をAdobe製品で編集して見た目をどうにか変えるというやり方もあることにはあります。
[記事]ソースコードを改変せず見た目を変える
費用:非公開
費用は公開されているわけではなく、ultralytics社 に問い合わせる形です。Unityのように、収益が$xxx未満の個人および企業に対しては無料…などとはなっていません。
コストは特定のニーズに応じて異なる場合があります。導入規模、統合レベル、サポート要件などの要因に応じて、1 回限りの料金またはサブスクリプションモデルになる可能性があります。
A question about the license · ultralytics · Discussion #1260 · GitHub
github のディスカッションでいくつかライセンスと費用について興味深い討議が行われていたので引用する形でピックアップします。
※あくまで当時のディスカッションで投稿された内容なので、最新情報を確認し、不明点はUltralytics社に問い合わせするようにしてください。
トピック:フィージビリティスタディ段階のライセンスは?
Q. 手術室全体を分析して医療器具の置き忘れを防ぐというシステムを開発するが、ライセンスはどうすればいい?
Enterprise License would indeed be required once the project transitions from an R&D stage to being used commercially within the company.
プロジェクトが研究開発段階から社内で商業的に使用される段階に移行するときに、エンタープライズライセンスが必要になります。
https://github.com/orgs/ultralytics/discussions/1260#discussioncomment-9060215
トピック:個人スタートアップに提示された金額が年間4500ドルだった?
For a single person startup with no earning, I requested their enterprise licensing but they stated $5000/year!
With only 2k downloads, I don’t think they saw the scope or the scale of my venture before quoting their fees. Posting here the email so developers can be aware of their fee structure and work on other models if needed without investing time and energy on Ultralytics YOLO.
(意訳) 収入のない個人スタートアップがエンタープライズ ライセンスをリクエストしたら年間 5000 ドルとのことでした。
ダウンロード数がわずか2,000 件なので、私の事業の規模を確認してから見積もりしたように思えません。
I got a reply in the mail but only $500 was reduced and the final fee was $4500. Seems developers like me can’t use your yolov8. Never mind, I’ll switch to another model.
メールで返事が来たのですが、500ドルしか減額されず、最終的な料金は4500ドルでした。
Hi there! We’re truly sorry to hear that the revised fee still doesn’t meet your needs. 😔 We understand the constraints of individual developers and startups, and we’re continuously exploring ways to make our technology more accessible.
While we regret to see you consider other options, we respect your decision and wish you the best in your project. If circumstances change or if there’s anything else we can assist you with in the future, please don’t hesitate to reach out.
While we regret to see you consider other options, we respect your decision and wish you the best in your project. If circumstances change or if there’s anything else we can assist you with in the future, please don’t hesitate to reach out.
Best of luck with your endeavors! 🚀
(一部省略)
私たちは個々の開発者や新興企業の制約を理解しており、私たちのテクノロジーをよりアクセスしやすくする方法を継続的に模索しています。
幸運を祈ります!🚀
https://github.com/orgs/ultralytics/discussions/1260#discussioncomment-8696997
ディスカッションを読むに、以下のようなポイントがあるようです。(推定であり確定情報ではありません)
①最初から・誰もが、エンタープライズライセンスを使わなければならないというわけではない。
Ultralytics社の方の、個人レベルの開発であればAGPL-3.0で進めればいいのではという書き込みを見つけました。
AGPLは「使ってはいけないという意味のライセンスではない」ですし、個人レベルの開発であればニッチ領域にスピード重視で一番最初に参入することの方が重要な場合もあるかと思います。
プロトタイプを作成して資金調達できたら他のライブラリに書き換えるなどしてYOLOv8を使わない方法もあると思います。
(資金調達できたら、エンジニアを一人雇うつもりで課金してしまうのもアリだと思いますが)
②エンタープライズライセンス費は頒布量に応じて変わるわけではない模様
上記のディスカッション、2,000ダウンロードしかないのに$4500もかかるのか、という投稿がありました。利益やビジネスモデルにも依るかと思うのですが単に頒布量で計算しているわけではないのではないかと思われます。
③「モデル」の利用法に関してはUltralytics社の方も不明点は法律の専門家に聞くことを薦めている
Glenn Jocher氏の書き込みなのですが、「does not necessarily need to be open-sourced (オープンソースである必要はない)」や「may not need to be open-sourced. (オープンソースである必要はないだろう)」など、モデルをどこに置くか・どう利用するかにより、ケースバイケースでの判断が必要になるような書き込みがありました。↓
https://github.com/orgs/ultralytics/discussions/2127#discussioncomment-8380408
今後も興味深いディスカッションがあれば、ピックアップして引用する形でご紹介したいと思います。